ストリートで写真を撮る理由

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 前回の記事でも書きましたが、僕はいつもストリートで写真を撮ります。というとなんだかおおげさに聞こえますが、あてもなく散歩しながら、目に留まった風景、人物、物を写真に撮っているだけのことです。はじめから目標とする被写体があって、そこに出向いていくということは、めったにありません。

 こういうスタイルで写真を撮っているのにはいくつか理由があります。

 いちばん大きな理由は、ストリートにはたくさんの奇跡が溢れていて、それを写真という形で捕らえていくことが快感だからということ。ストリートの状況は一秒ごとに変化していきます。車や人がやってきては過ぎ去っていき、太陽は少しずつ位置を変えて街を照らし、雲はゆるやかに流れ街に影を落とします。

 そうしたストリートの一瞬一瞬は、すべて決して二度と訪れない「決定的瞬間」です。もちろん、そのすべてが面白いというわけではないけれど、ときには信じられないくらいに印象的な風景が、突如として目の前に現れることがあります。それはめったに出会えるものではないし、また出会えたとしても、うまく写真に収められるとは限りません。しかし、だからこそ、そうした瞬間が訪れたときの興奮と緊張感、シャッターを切ったあとの後悔と不安、そして何より、現像して思い通りのイメージが捕らえられていたときの感動はたとえようもありません。

 とはいえ、それはいわゆる「絶景」写真でも一緒だと思います。自然を相手にしているものだから、絶対に自分の思い通りにはなりません。季節や天気などの状況によって写真の出来は大きく左右されます。そんななかで、誰もが目を見張るような美しい写真を撮れたら、とても嬉しいに違いありません。

 ではなぜ僕がストリートで撮ることにこだわるのか。根底には、人間への愛があります。写真ごときで人間への愛とはまた大仰だと思われるでしょうが、僕にとって写真というのは一貫して人間への愛を表現するものなのです。

 今日の写真は、ある日の夕方、写真を撮りながら家路をたどっているときに撮ったものです。道路のはるか向こうから射してくる夕日と、街路樹を通して降り注いでいる木漏れ日の美しさに静かな感動を覚えながら歩いていると、突然、抱っこ紐で赤ん坊を抱えながらベビーカーを押す一人の女性が目の前に現れました。少し疲れた表情で遠くを見つめる女性の顔は、逆光に照らされ輪郭が輝いていました。

 僕は、何かを考えるよりも先にカメラを構え、ほとんど露出やフォーカスを合わせる暇もなくシャッターを切りました。そのときは、これはちゃんと写っていないかもなと思っていましたが、現像してみると、完全に思い描いていた通りには行きませんでしたが、思いの外きちんと撮れていました。

 二人の小さな子どもを連れて夕方の街を行く若い母親のたくましい姿、その力強さが、ほんの少しではありますがこの写真からは感じられるような気がします。僕は、ほんの一瞬すれ違ったこの女性に強い尊敬の念を抱いて、その発露としてシャッターを切りました。当然、それはこの女性には一切伝わらないものですが、それでも、そうせずにはいられないのです。

 僕がストリートで人を撮影するときは、すべて尊敬の念に端を発しています。写真という形で永遠のものとなったその瞬間から、その人(たち)の人生がわずかでも伝わってくるような写真が撮れれば、と常に思っています。そういう写真は、スタジオポートレートなどでも撮れるのでしょうが、僕としては、あくまでもストリートでの、名も知らぬ人との偶然の、そしてただひとときの出会いに強く惹きつけられるのです。

 今日はこのあたりにしておきます。

自己紹介

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 はじめまして。すばると申します。

 またブログを始めようと思ったので、ひとまず体裁として自己紹介めいた記事を書いておこうと思います。

 「また」というのはお察しの通り以前にもブログを書いていたということです。なぜやめてしまったかというと、単純に面倒だったんですね。だけど、常々、やめてしまったことを後悔もしていました。でも、ふと思ったのですが、別に誰に断ってやめたわけでもないのだから、後悔しているくらいならまたやればいいだけのことなのです。そういうわけで、「また」やります(実を言うと3度目くらいなのですが)。

 今度は長く続けるために、2つの策を講じることにしました。

 1つは、肩肘はらずに書くということ。ちょっと長いツイートを投稿するつもりで書こうかなと。もう1つは、写真を主体にしたブログにするということ。これは、今僕の最大の関心事が「写真」だから、それについて書くのがいちばん書きやすいというだけのことなので、もし興味の対象が「歌舞伎」に変わったら、歌舞伎についてのブログになることでしょう。

  そうそう、自己紹介をするのでした。

 年齢はべつにどうでもいいですよね。住んでいるのは京都です。好きなものはいまのところ音楽と写真、かな。音楽はほぼ聴く専門ですが、いちおうピアノを少しだけ弾けます。写真はほぼ撮る専門で、あまり他の方の写真を見ることはありません(上達のためには見るべきなのでしょうが)。

 僕の写真とのかかわりについても少し述べておきます。

 写真歴はようやく1年が経ったくらいのド素人です。写真をはじめるきっかけとなった人がフィルム写真愛好家だったために、僕もフィルムで撮ります。理由は自分でもよくわかりませんが、9割方モノクロフィルムを使います。フィルム現像は面倒なのでいまのところトイラボさんというところでやってもらってます。プリントは自分でやっています。

 使っているカメラは現状ではライカM3がメインです。他にも頂いたりお借りしているカメラがたくさんあるのですが、M3は私物です。とある理由でまとまったお金が手に入り、その記念の意味も込めて男の一回払いで購入しました。宝物です。ライカ、とくにM3への思い入れについてはまた記事を改めて書こうと思います。

 撮影のジャンルをあえて言わなければならないのならば、いちおうストリートフォトグラフィーということになるのだと思います。プロパーなストリートフォトグラフィー愛好家の方々からはお叱りを受けるかもしれませんが、自分ではそう思っています。

 ストリートで撮影をする理由はけっこうたくさんあるので、これも後日書こうと思いますが、いちばんは畢竟それがもっともワクワクするからです。ワクワクすることをするのが最高に決まってますよね。

 そういうわけで被写体は身の回りの風景、事物、人、がほとんどです。個人が特定できるようなかたちで人が写り込んでいる画像はアップしませんが、万が一、これ写ってるの自分なんだけど消してくれない?ということがあれば対応しますのでコメントなどでお願いします。

 そういうわけで今後は、一記事につき少なくとも一枚は写真をひっつけて、それを撮ったときのことや、見返して思うことなどを書いていこうと思います。ちなみに今日の写真は、用事があって東京に行ったとき、用が終わってから中野のあたりをブラブラしているときに撮りました。

 いい感じの逆光が射していたのでとりあえず撮っとこうと思ったら、なんとも良いタイミングでなんとも良い男女がフレームインしてきましたので、そこを頂きました。男性が杖をついていらっしゃいますが、なぜ杖をついているのかは当然知る由もありません。でも、この二人の歩みはなんというかすごく自然な感じで、お互いの歩幅をよく知ったうえで歩いているという様子でした。この写真では、二人は光のほうへ向かって歩いていっていますが、現実でもきっとそうなのでしょう。

 今日はこのあたりにしておきます。